歌謡

先輩蒙古放浪歌ですか 押忍 

この歌ほど男のロマンをかき立てる歌はない。
まだ見ぬ蒙古だが真っ赤に染まる大陸の夕日を見たくなる。

大相撲で活躍する力士達をはじめ日本とは昔から気心の通
じる国と聞いていたが、更に、日本に好意を持つ国と教え
られ、大相撲の力士達の日本に対する思い入れを聞く度に
親近感を覚えるのは何故だろうか。

20代はじめから30代にかけて仲良くした男がいた、
家庭の事情で東京へ発ったが、大学では空手部に所属して
猛稽古に耐えた硬骨漢だった。

酒が入ると彼はよく、この ♪ 蒙古放浪歌 を唄った。
大学の友を偲び、空手に明け暮れた学生生活を懐かしんで
居たのだろう。

年若くして相思相愛の彼女と結婚して家庭を持ったが、
父親と意志の疎通に欠くところもあって悩んでいた。

彼の心のよりどころは、すぐ真っ赤になる酒とこの蒙古
放浪歌だった。

良い男は、別れて見てその良さが分かる、泰然と物事に
動じない平常心を持つ男だった。
ある約束をしたが、今だ実現していない。

大学で空手を修練した良き男達や港町で肩怒らせた野郎達
が、こぞって慕った男だった。

私は、折に触れ過去を振り返る時、壁にぶち当たった時に
彼の雄姿を思い出して ♪ 蒙古放浪歌 を聴く。

男同士の友情は遠く離れて、別れている程に強くなる。
私には数少ないが、体育会系の女性の友達が居る、

友を見送る時に、その送別会に同席させたことが有る、
それ以来、何か有ると・・・

「先輩! 蒙古放浪歌 ですか、 押忍。」 と答える。
その目は、男の友情には勝てません脱帽ですと語っていた。

女が先輩と言うのは、クラブの女性同士では当たり前だが、
一般の社会で、男女の間で 「先輩! 押忍」 は珍しい。

しかし、私はこのイントネ-ションが大好きで心から歓迎
して聞いている。

「押忍」 

♪ 波の彼方の 猛古の砂漠
   男多恨の 身の捨て処
     胸に秘めたる 大願あれど
       生きて帰らん 望みはもたぬ

東京の空が茜色に染まる時・・・
小さな居酒屋で ♪ 蒙古放浪歌 を唄う男がいる、
その目は、いろんな多恨で真っ赤に染まっている筈である。

「先輩!押忍 蒙古放浪歌ですか私にも唄わせて下さい 押忍。」

女性のバンカラ調も粋なものである。

・・・「押 忍」・・・

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