歌謡

哀愁出船 未練

薄情に負けず必死に生きた娘が死んだ
親の情を知らず人の情けを知らないままその娘は死んだ
後に残されたのは預金通帳ひとつ

12月の風は冷たかった
師走の街に散る落ち葉がその娘を偲んで泣いた
雪をかぶった〇〇山から身を切る突風が叫んで降りた

何故だよ 何故死んだんだよ

幸せを掴む寸前だった
生き別れた母の居場所が葬儀の後 判った

幸薄かったその娘を思って 住職は袖に涙を隠した
読経は 抑揚を更に強めて式場に響いた

享年 20才
海の見えるその村のはずれの墓地に小さな墓石が建った

焦がれた母が わが子の不幸を悔やんで建てた

母もまた、父母の愛情を知らないまま育った人だった
母子2代 不幸せな人生 母の慟哭はいつまでも続いた

年が明けて 3月
ひとりの若者が花束を抱えて墓地に立った
遠洋漁業の休暇に故郷に戻ったその娘の彼氏だった

目の前に広がる〇〇海は 穏やかな陽の元に凪いでいた
沖合いを〇〇航路のフェリ-が南へ舵を切っていた

白い船体が波しぶきを上げてスピ-ドをあげた

♪ 哀愁出船
     

  男の未練か それとも幸薄い女の未練だったのか
  汽笛が尾を引いて流れて消えた

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