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歌謡

旭川慕情 S建築 健在なり

歌番組の動画を見ていたら懐かしい友の顔が出ている、私は一瞬
目を凝らして画面に釘付けになった。

私より4歳年下の会社経営者がいた、彼は若いうちに山間の町から
県都へ出てきて苦労をしながら事業を立ち上げた男だった。

苦労しただけに堅実な仕事と会社経営に努めていた、派手さはないが
堅い事業展開をしていた、建築業と不動産管理業をやっていた。

朴訥な語り口、私とウマが合ってしんみり話の出来る男だった、
ところが彼の死を1年経過してから知ることになったのである。

家族も驚く短い期間での闘病だったようで、遅まきながらお悔やみに
出向いた、奥さんの淡々とした話は尚更胸が締め付けられて辛いもの
だった。

彼の長男と次男が奥さんを支えて父親の事業を引き継いでいる、
身近な肉親が自宅の建築を予定しているので、友の会社を紹介した。

「二通りのプランが出来ました」 と連絡貰ったので代理で出向いた
お母さんを囲んで兄弟が待っていた、図面はふたりの合作である。

「出来ればこの会社で建築してもらいたい、亡くなったお父さんへ
恩返しをしたい」 震える私の言葉に家族の顔もゆがんだ・・・
「もったいないです、父も喜ぶでしょう・・・」 

長男の言葉に奥さんは俯いた、涙が頬を伝わった、別れは辛いな !

♪ 旭川慕情 という歌がある、
  作詞 横内 淳
  作曲 横内 淳 
  唄  横内 じゅん

この横内じゅんさんが、友の顔と瓜二つなのである、
私は彼に逢いたくなると横内先生の動画を開く、彼との時間を辿っている。

私の住む街で彼の残した商号は地味ながらもさん然と輝いている、
「Sさん、息子達たのむな・・」朴訥な彼と旭川慕情が重なって見える。

♪ 小雨に濡れた 旭橋
   震える肩も 濡れていた
     ・・・  ・・・
  

♪ 旭川慕情 横内 じゅん

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