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人生

コスモスの花 海峡に消えた少女

寒い夜が明けて犬を連れて土手に降りて見た、青い空が
何処までも続くように手の届かない彼方に微笑みを見せていた。
大型の除草機で刈り取られた法面一体に真っ白な霜が降りていた。

頬をよぎる風が突き刺すような寒さを体感させる、しかし、今日は
暖かくなりそうなそんな予感を風景は醸し出していた。
昨日、人の体温を感じさせるようなしかし過酷な便りが届いた。

前略・・・
命の狭間に佇む友の奥さんからだった、行間に滲むボヤけた文字が
過酷な現状を忍ばせていた、ところどころの文字が涙で滲んでいた。

「運命を受け入れて最後の日々を過ごします、何が主人の為なのか
ただ、それだけを願って尽くしたいと思います。」

「涙で滲む文字」 過酷な友の現状がこれでもかと私の心を打つ !
華やかな学生生活、傍若無人は親をも泣かせた、青春に悔いはない。

其れは彼にこそある言葉だった。学生時代と一変して彼は変わった。
迎えた妻が素晴らしかった、若い頃の関西行きを除けば故郷に帰って
大手企業に就職して、最後まで真面目に勤めて定年を迎えたのである。

この近年は、何事にも「ありがとう!」 人を思いやる静の人に戻った。

朝と打って変わった暖かい陽だまりの中で何時もの公園で車を止めた、
小鳥の声が謳歌する、 「暖かくなったね! 嬉しいね!」
昨夜の便りが思い出された、人間の幸不幸を改めて見比べる私がいた。

何処からか歌が聴こえて来た、昨夜の主人公を彷彿させる歌声だった。

コスモスの花「お兄ちゃん! 私 コスモスの花が 好きなんよ !」

おかっぱ頭の少女が私に訴えた、それから間もなく母と子(娘) の姿が
その町から消えた・・・。

♪ コスモスの花 
< M Sunaさん 何かしら忘れ物をしたような想い出が・胸に迫ってきました・・・! 感謝です。 幻想の狭間 ファンタジーの世界 心温まるその女性の励ましは 男をして 泣かせるものがある、コスモスの花 野辺に咲く 可憐な花よ ! 「お兄ちゃん! 私、コスモスの花が 好きなんよ!」 少女は海峡に消えた。 コスモスの可憐な童心と世の中のか弱きものに手を差し伸べるコスモスの 花 それにぴったしの歌声が聴こえて来ました、ラブレターさんの 声に似て !

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