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雑談

夕焼けを背に  あの日の  しのぶ

「お訪ねの電話番号は現在使われておりません・・・」
104(音声案内)のオペレ-タの声が心なしか沈んで聞こえた。

山間の町は近年新興住宅地が出来て街からたくさんの移住者が
引越しして賑わいを見せていた。

その町の知人へ連絡する用事ができたこともあって電話帳を繰
っていたところ、飛び込んできた名前に釘付けになった。

忘れることの出来ない女性の名前が、30年以上の時を経て目の前に
現れた、

まさか、30年以上前の名前がそのまま姓も変わらず電話帳に載って
いるとは驚きだった。

グ-グルマップで地図を調べてみると後輩の家から100mほどの距離
しかはなれていない、はやる気持ちを抑えて電話をしたのである。
ところが上記のような案内が返って来た。

むべなるかな、30年以上の経過は、無理もない ?

私の喫茶店で夜の部で勤めてくれた乙女、昼間も仕事をして夜勤務して
くれたのである、お客さんの受けも良く、派手さのない地味な服装は
彼女の生い立ちを抜きにしては語れない、貧乏には慣れた境遇だった。

私が今に至るも心が痛んでならないのは、彼女に為さぬ仲の男が出来た
ことだった、妻子の有る男は私の可愛い後輩、彼女の勤める純喫茶から
スナック喫茶へ移った私は随時彼女の相談に乗ってやる時間がなかった。

何度か店にやって来てカウンタ-で淋しそうに私の姿を追った彼女に
ゆっくり時間を割いてやる余裕がなかった、いつの間にか彼女の姿が消えた。

晩秋、西の空が紅く染まる夕焼けを背に物悲しげに歩く彼女の姿があった、
しばらくして彼女は店をやめて、その消息が途絶えた。

私の事業の大転換と家庭内の問題もあって故郷を後にする半年前の事だった。
知人の居酒屋に勤める「しのぶ」は山間の村から来た娘だったが、
私の店に勤めてくれた娘はたしか海辺の乙女、時に物悲しい顔を見せる娘だった。

♪ しのぶ 
男の唄う、♪ しのぶ は・・・
あの日、夕焼けを背に悄然と歩いた乙女の心を偲んでみる・・・
泣き濡れた夜だったのではないか!夜毎の床を嗚咽で泣き明かしたことだろう ?

男の唄う ♪ しのぶ  は
あの日の彼女の心を表すように身を焦がす ! しのぶ の男歌 感泣である !?

涙を手のひらで拭って歩いた、しのぶ 何処の空の下にいるのか ?
まさか、亡き人でないことを 切に祈る。

しのぶ 美空ひばり cover by karaokeZ
  作詞:吉岡 治
  作曲:市川昭介
  歌手:美空ひばり

この、hara (karaokeZ) さんの歌は、
滑らかなこぶし回しと心に届く情感に、歩まれた人生を見るようです、
引き込まれますね ! たくさんの拍手が送られるでしょう !

しのぶちゃんが聴けば泣くと思いますよ。

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