雑談

木枯らしの舞う  なぜに  ひまわり

みかんの採り入れが終わると木枯らしが舞う、
港町は年末の喧騒と新年への準備で多忙を極めていた。

買い物を終えた人々の途絶えた商店街を避けるように、
木枯らしの舞う裏通りを無言で肩寄せ合う恋人同士が
歩いていた。

「どうしても行くの ?」
髪を短くカットした小柄な女は俯いたまま声を震わせた、

「ごめんよ!」
答えた男の顔が青ざめている、父の死が境遇を暗転させた。

堅実に自動車修理工場を営んでいた父は断りきれない知人の
保証人になったことで立退きを迫られていた、家族の不幸が
そこに来ていた。

雪の舞う寒い日だった、父が帰らない事に不吉な予感がした母は、
裏山に在る先祖の眠る墓地に登った、その墓石の後ろの樹の枝に、
父は苦悶の表情で息絶えていた。

それが12月の始め、長男の身の男は、商店街の小さな勤務先に
辞表を出した。

明るい未来が来る筈だった!
年が明けて春、ふたりは所帯を持つと誓い合っていた !
しかし全てが暗転した。

町にただ一つ在る洋画専門館でふたりが観た最後の映画は
「ひまわり」
主演 ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニの
悲しい物語り !

まさかふたりの身に降りかかるとは思いもよらなかった !

港町に十数年ぶりの大雪が降った、Y駅は早朝とも有って
人通りは限られていた、駅のホームは風に煽られた吹雪が吹き
込んで来た。

ひとり男を見送る女の嗚咽は列車が見えなくなっても途絶える
ことはなかった、

その後のふたりの物語りを私は知る術はない ?

「ひまわり」
ソフィア・ローレンの哀しみにくれる顔を見ると、あの時の、
男と女の物語りを想い出す・・・

恋とは何と切なくも悲しいものなのか ?
ハッピーエンドはごく僅か、数限りない涙が流れる 未練坂 !?

寺内タケシとブルージーンズ ♪ ひまわり

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