私の育った港町と云えば戸数250軒の小さな村
と
九州への玄関口、魚市場の在る漁港、
この町は、当時4万人程の人口で賑わった。
共に周囲は山に囲まれて
一方は淋しい半農半漁の村、
もう片方は、全国に名の知れた漁港と商業の町。
後年、森進一の歌で全国に流れた
♪ 港町ブルースの 町 でもある。
私が高校へ進学する前、日本映画界に衝撃が
走った、
太陽の季節で華々しく登場して芥川賞を受賞した
石原慎太郎 後の代議士にして東京都知事、
その実弟、石原裕次郎の映画界出現だった。
有名なデビュー作、
「太陽の季節」
「狂った果実」
あれほど裕次郎ファンに関わらずこの2作品とも
私は劇場に足を運んでいない。
映画といえば、たまに村にやって来る巡回映画を
見るだけの寂れた環境に、
裕ちゃんブームを目にするのは、高校へ進学して
からだったのである。
たくさんのヒット作を持つ裕ちゃんの歌の数々
だが、なぜか ?
派手やかな歌に隠れて地道に耳に届く歌の方を私は
好んで聴いた。
孤独な少年に、
日活映画「零戦黒雲一家」の主題歌
♪ 黒いシャッポの歌
♪ 口笛が聞こえる港町
少年の空虚な心に染み込んできた、
楽器を爪弾くのは高校に入ってから
少年の胸の内を表現するのはもっぱら「口笛」だった。
小さな村の海辺で大海原の沖を見つめて口笛を吹く、
フェリー乗り場の桟橋であの広大な九州を偲ぶ !
そんな時、自然に口笛が流れた。
楽器をこなす前の学習塾が独学の口笛だったのである。
口笛が聞こえる港町
石原裕次郎