路地裏 哀歌
時折私は庶民の暮らす路地裏長屋へ足を向ける、
ここには人生の縮図が詰まっている。
幼少期に父母兄弟姉妹と離れて一間の畦道を隔てた
隠居で祖母と暮らした思い出を懐かしむ為である。
道路を隔てて大海原の開ける故郷の海岸線沿いの家
は常に台風には直撃された、
我が家は沖縄の台風銀座を彷彿させるものだった。
幼少期の体験は大人になっても影響する、私の場合は
活力に生かされて波涛に向かった。
古い長火鉢、それは獅子文六のてんやわんやの世界!
幼くして母と別れた祖母が優しい兄、愛しい妹と別れ
て嫁いだ嫁入り道具、故郷の話を聞いて私は育った。
「バァバ!」
独特のイントネーションで祖母に甘えた日々が懐かしい、
長火鉢に向き合い2人っきりの隠居住まい、八畳の間は
私の人生の原点、人の優しさを学んだ寺子屋だった。
伊予宇和島藩、幕末明治に偉人達が徘徊した文明発祥の地、
天赦園を過ぎて南へ進路を取りトンネルを抜けると開ける
先、岬の突端にバァバの生まれた牛の浦がある。
9日が祖母の月命日、必ず日々の出来事バァバへの想いを
語りかける、私の原点、最高の先生、師匠である。
何かに語りかける、誰かに報告する、行き過ぎた過信が
戒められる、ちょっと待て間違ってはいないか ?
私が訪れる路地裏にとうの昔に無くなった人情長屋が在る、
路地裏哀歌 !
一曲、、郷愁に震える演歌が生まれそうである !
今宵は、私が大好きな
徳久広司先生の ♪ ヘッドライト
新沼謙治 の4枚目のシングルである、彼の代表曲である。