サブは私より一つ年下だった
出会いは車のことでの喧嘩寸前
ところが何と酒が取り持つ縁で
兄弟づきあいが始まった
詩吟を奏で 酒を愛した男だった
そのうえ子煩悩な家具職人だった
松山へ出る時 隣のサっちゃんと
別れを惜しんで 泣いてくれた
兄さん 兄さん あにさん寂しいよ !
男泣きしたサブだった
最後に彼の腕に託したものがある
私達の数度にわたる転居にもついて
きた濃紺のテ-ブルである
我が家のリビングに今も座っている
兄さん 負けるな がんばれ !
苦しい時サブの魂のこもったテ-ブルが
力づけて後押ししてくれた
サブの実家は山間の貧しい百姓家・・
幼年期から恵まれない環境にいた
だから、少しの情けにも心が震えた
サブと過ごした港町は 演歌の世界
阪神大震災の最中 彼は天に召された
一杯下げていくから待っていてくれよ !
サブ ! 男演歌の似合う兄弟分だった。
「サブよ ! サブ ! 」
♪ 男の酒 秋岡秀治
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