琴風豪規
現役時代の愛称はペコちゃん、相撲取りには珍しい愛嬌のある
あだ名である、
怪我や病気に泣かされてそれでも尚立ち上がって大関に迄登り
詰めた、それらがなかったら日下開山横綱になって居たと思う。
歌の上手さでは相撲界を二分する増位山太志郎と琴風豪規だが、
女性には増位山か? しかし、苦労を乗り越えた点では男の胸は
琴風に行くような気がする。
まわり道 人生には人に言えない挫折が有り、人に遅れをとる
悲しみがある、人間は結構、足踏み、後退、遠回り、辛酸を舐め
て高みに到達する。
人の人生は、成功を掴む割合よりも失敗して挫折する方が多い。
人知れず社会の片隅で、妻子に見捨てられて人生を清算する人は
多い、私の周囲にもそんな男たちが居た、孤独に沈む淵で何を
思ったかは知りようもないが、彼らの胸の内を覗いて見たくなる。
あの昭和の時代には、
そっと物陰から好きな男を見詰める切ない女がいた、
小雪の舞う街灯の下でうずくまる女の気持ちは悲しい。
そんな男に限ってなぜかモテル ? 憎らしい程に !
見返してくれない男を待つほど苦しくて耐え難いことはない、
記憶の向こうに、薄幸な女性 (ひと) が居た、Aちゃん !
「マスタ-!」 長い黒髪をたらして、伏目がちの 瞳から
ホロリと一筋涙が落ちた、
声にならない嗚咽がいじらしかった。
心根の優しさが男に弄ばれて、しまいには捨てられて、
じっと佇む姿がいじらしかった、彼女の恋は短かった ?
ある時、小さな女の子を連れた彼女に出会った、
彼女に相応しい物静かな男が現れて彼女にプロポ-ズした、
ふたりの間に産まれた宝物だった。
苦しい難所の続く恋の道・・・
彼女が歩んだ「まわり道」は彼女に相応しいハッピ-エンド
に彩られた。
粉雪の舞う 街路樹 幻想とは裏腹の苦難の道 八幡様は
我慢して涙を袖に隠した純真に手を差し伸べたのである。
杉の子の灯が、女の歴史を見詰めていた「よかった !?」
琴風豪規
尾車浩一 公益財団法人日本相撲協会理事事業部長
引退後尾車部屋を創設、親方として弟子の育成に努めている。
♪ まわり道 琴風豪規
作詞:なかにし礼
作曲:三木たかし
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