「おかあさん!」
「おふくろ・・・!」
いくつになっても親は親
おり折々に母を偲ぶ
私の先輩に
結婚して子供が出来たのに
「母ちゃん !」
と母を呼ぶ人がいた
「ええ!先輩! まだ母ちゃんかよ ?」
と思っていたが、その反面
「いいなぁ! 幸せだなぁ!」
と先輩を眺めた
台風接近前の海原は
海面がにわかに隆起して
今にも襲いかからんばかり
白波の水しぶきが牙を剥いて
我が家の庭に流れ込んできた
恐ろしい程の自然の猛威
半農半漁の村は
自然との闘いに、明け暮れた
貧しい村の女たちは強い
海の匂いが染み付いて
男達やか弱い子供達を支えた
海の匂いのお母さん
鳥羽一郎が母を慕って声をあげる
海の匂いが しみこんだ
太い毛糸の チャンチャンコ
・・・・・
母のいない故郷は、 今 !?