時代おくれ
健さんの 「時代おくれの酒場」を聴くと
昔出会ったイナセな男達が瞼の裏に浮かぶ
ほとんど20代だが40に手の届く男達もいた
店の古びたドアを軋ませて戸が開く
土曜の深夜興行の東映ヤクザ映画を見た日
など皆んな一様に肩を怒らせてやって来た
様々な性格なのに皆健さんになりきっていた
「Sさん、まさかあんたも高倉健とはね ?」
肩を怒らせて映画館を出た私を冷やかした
♪ 時代おくれの酒場 を聴くと、
寡黙な健さんと 彼にすがって泣いた女が
追憶の彼方からよみがえってくる
私はその中でも別れなければならなかった
相思相愛だった女房の江利チエミを想う
その後の彼女の足跡が余りに哀れでいじらしい
健さんが義理のために 何もかも捨てて
肩を落として路地を行く その後姿が切ない
時代おくれの酒場 時代に乗れなかった女たち
雨が小降りになった、狭い路地を 蛇の目傘の
女が通り過ぎた
健さんがいたらなァ
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