私の友Aは、
そこに居るのも分からないほど物静かな男だった、
高校時代は陸上部の主将、就職して行った大阪で
空手をはじめ、事情で県都に帰ってきた。
その道場は、木造2階建ての個人住宅の1階部分を
借りて若者達が汗を流していた。
師範は拓殖大学空手道部出身の体の大きい先生だった、
季節毎に東京の本部から県内出身者の猛者が帰郷して
道場に顔を出していた、彼らはとてつもなく強かった。
とにかく2時間余りの稽古の休みは日曜日だけ、他の
曜日はみっちりと密度の濃い稽古に明け暮れた。
師範が休みの時は全日本空手道選手権大会に出場の先輩
達が手を取り、足を取って稽古をつけていた。
幾多の道場生の中で彼Aは頭角を現していく、その根性
は他の追従を許さなかった。
そして黒帯を締めるのも早かった。
数十年前のAとの出逢いは終生の契りを結んでいく。
現在押しも押されもしない事業経営者、事業を息子に譲り
そして社会へ奉仕する、へんろ小屋プロジェクトの世話人。
彼は、私の身近に帰ってきた、数十年の歳を経て友情復活
である。
「友遠方より来る又楽しからずや」
道場訓 そして懐かしい歌 男一途 聴いて見て下さい。
♪ 男一途
歌:アイ・ジョージ
作詩:高木正朝、
作曲:アイ・ジョージ、
編曲:佐伯亮
♪ 突きと蹴りとは
空手の技よ
妙は虚実の間にあり
五条の誓いを道一筋に
進む男の心意気