冷たい雨交じりの雪が降って来た、
私は思わず襟を立てて身を竦めた。
辺りは夕方にはまだ間があるというに、
薄暗く、
道行く人々の表情をこわばらせていた。
狭い商店街の雑貨屋のおばさんが
軒下の品物を慌てて取り入れていた。
パチンコ店の賑やかな喧騒が異質な
雰囲気を醸し出していた。
小さなスナックの店内から懐かしい歌が
流れてきた。
高橋真梨子の ♪ ごめんね
時間が突然止った。
数十年前クリスマスはそこに来ていた
町は華やいだ装いを見せてジングルベルが
聴こえていた。
港町の九州航路の桟橋は、雪交じりの雨が
冷たかった、
若い2人の儚い恋が終止符を打った日、
寒い日は、若いアイドルの歌は似合わない、
高橋真梨子が悲しいけれど似合う !
・・・ごめんね !
誰ともなく、誰にでもなく、男は呟いた !
目に一杯の涙を溜めて おんなは、
白波の向こう 別府航路の航跡に 消えた。
カモメが2人を悲しむように 寒空に舞った。
・・・
ごめんね・・・ 高橋真梨子 (1996)
作詞 :高橋真梨子
作曲 :水島康宏
編曲 :十川知司
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