どんな男でも静まり返った夜は淋しいものです、
虫の音が物悲しく聞こえるようになると孤独に嵌る
ってことなのさ ?
あの娘が生きていれば、姉さんたちが元気でいれば
あの港の光景は代わったものになっていたはずだ ?
権現さんの頂が月明かりにボォ~と霞んでいたよ !
別府航路のフェリ-が碇を上げた時、
男を見送りに来ていた娘が大粒の涙を出して咽んでいた。
夜の岸壁ほど別れの悲しみに包まれる場所はない、
一時の別れであれば良いが、永久の別れなら海に入って
追いかけたくなる、女の性ってそんなものさ・・・ネ !
別府航路は幾多の男女の悲しみの寄せ集め、花嫁姿の
新婚さんが花束抱えて笑っていたが、いつまで持つか ?
ひばりちゃんが亡くなってどれ程の月日が経ったのか ?
裕ちゃんもそうだったね !
後輩の恋の悩みを聞くために埠頭傍の小さな公園でブランコ
に2人して並んで乗った !
「Sさん! 俺は頑張るから、一人前になるから !」
あの時、泣いた奴は、とうとう頑張り通した !
大会社の製鉄所長と掛け合い漫才が出来るまでに努力した。
小政と自称した男といつもつるんだ大政は私の自慢の後輩、
奴は関西に地歩を固めた。
格闘技界で一家を成してジムは息子に譲って団体の要職にある。
「やるか!」
裂帛の気合と右フック! 男の前にチンピラ達は崩れ落ちた。
海は、港は、夜の帳は、 そんな男と女たちを思い出させて
波間に漂う ?
ドラが鳴り 演歌 おんな歌が聴こえてくる・・・
あの日を思い出させて、哀愁出船が !
私の胸を打つ、
哀愁出船 美空ひばり
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