秋深まる晩秋の伊予路
ひとつの命が家族に見守られて神の御元へ召された。
私の大切な竹馬の友の最愛の妻である。
突然の電話だった、
「家内が一昨日亡くなったよ !」
悲しみを抑えた落ち着いた声だった。
( とうとうその日が来た、)
その時うけた私の辛い気持ちだった、
友は七つの海を越えた海の男でもあった。
その留守家庭を預かったのが良妻賢母の妻、
天性の明るさを兼ね備えた女性だった。
わたし達は、よく、不思議だなと言い合うほど
外出先で顔を合わせた。
口外できない程危うい冗談も言い合った仲だった。
その妻が薬石効なく天国に召されたのである。
友の孤独を偲んで歌謡曲を聴いていたが、
ある歌で私の脳が反応した・・・
春日八郎 「別れの波止場」
私が少年の頃良く聴いた思い出の歌である。
友の船員姿が重なった、ここでもう駄目だった、
涙がとめどもなく流れる、不謹慎だが最後まで
聴くことにした、辛い別れ歌になった。
近日、仲良し数名でお悔やみに出向く、
友の切ない胸の内を推し量っている。
別れは、辛い。