私達世代の男性にとって俳優 高倉 健さんは特別の意味を持っている。
役者稼業の演技じゃないかと口を尖らす向きもあるが、
どうして、その後姿は演技以前の本人の真摯な性格に負うところが
大きい。
60年安保世代の虚無感とごちゃ混ぜにして世間は評価するが、
たとえ、その思想的背景はあるにしても刀ひとつひっ下げて叶わぬ
多勢に向かう男の後姿に若者達は狂喜・共感した。
私は彼らとは異質な見方で健さんの後姿を追ったが、我慢を重ねて
仕舞いに爆発する男のエネルギ-は共感できた。
ヤクザ映画の衰退に伴い健さんは別の文芸物から刑事物、人情物と
その生業を変えて行くことになる、孤高の後姿は形を変えて観客の
想いを代弁した。
健さん生涯一度の結婚は、三人娘に称された江利チエミ、抜群の
歌唱力の実力歌手だった、テレビでサザエさんを見る人達にとっては
何故と思われるかもしれないが、♪ テネシ-ワルツ等に見る聴かせる
唄は、秀でたものでした。
♪ 新妻に捧げる歌、
1964年3月発売 作詞:中村メイコ 作曲:神津善行
見事な情感である。
♪ 幸せを もとめて
二人の心は
よりそい むすぴあう
愛のともしび
悲しみを なぐさめ
喜びを わかちあい
ふたりで歌う 愛の歌
ラララ ラ ラララ ラ・・
今は亡き 高倉 健さんと 江利チエミちゃんに 捧げます。
愛し合った二人だというが、周囲の状況で別離を余儀なくされたという、
健さんを恋しながら元に戻らなかった糸、チエミちゃんの胸中が哀れである。
そう思って彼女の歌を聴くと、万感胸に迫る。
天国でふたりっきりで心おきなく語り合ってください。