クリスマス・イブ
人それぞれのクリスマス・イブ
あなたは誰とイブを過ごしますか ?
私のクリスマス・イブは、孤独な夜のライブでしたね。
名曲喫茶の2階の窓際の席 これが私の定番でした、
窓から通りを見下ろすと楽しげなカップルが片寄せあって・・・
うらやましいとは思いませんでしたが、自分の不甲斐なさに
少しばかりしょげましたね。
親しいママがやっていたバ-に足を向けると
「若い者が何ですか ? 元気をお出しよ、ハイボ-ル奢るからさ」
ナンバ-ワンのRちゃんがカウンタ-の奥からウインクを寄越した。
「Sちゃん、私が今晩付き合おうか ?」 冗談と判っていても
嬉しかったね。
それが二十歳過ぎ・・・
(恋をする暇がないんだよ ?) 何のことはない、負け惜しみ !
無骨な青春は、空手に明け暮れ、男同士の土つぼに嵌っていた ?
田舎町、漁業の町は、荒くれ男達で賑わいを見せた、喧嘩三昧
仲裁に借り出されて恋をする暇等ないよ・・・相変わらずの意固地。
恋人達の後姿にため息ついていた。
稽古が終えるとたまにフェリ-乗り場へ後輩と向かった、
九州に想いを馳せ、大分、別府に明日を夢見たこともある。
港町からたくさんの人々が九州へ新天地を求めて移住していた、
私の竹馬の友も開拓農家として大分に渡った。
12月の街灯は、クリスマス・イブは、降る雪を照らして物悲しかった、
好きな人が居ないわけではないが、断られるのが怖かった。
男同士が良いってことよ、強がりを言ってバ-のカウンタ-に座った、
ママがR-ちゃんが目配せして励ましてくれた。
「いつかは、ふたりのクリスマス・イブを見つけるんだよ」
そう言って、慰めてくれた。
25歳の旅立ちまで、ひとりクリスマスは続いた。
電柱の陰から、街灯の明かりに遠慮して
遠くから見ていた女性が居たことを知るのは、ずっと後のことである。
ふたりだけのクリスマス・イブ、たった一度、迎えることが出来たのに
別れのブル-スが、その後待っていた。
九州 大分 別府
クリスマス・イブの粉雪が 海峡を越えた。
今宵は
CHEMISTRYで クリスマス・イブを聴く、切なさは男の青春、見果てぬ夢。
岸壁に花びらが漂っていた。
CHEMISTRY – クリスマス・イブ