大手術をした先輩は今日女房の待つ田舎へ帰った。
我が儘なご亭主で、糟糠の妻は黙ってついて来た。
命を賭した病気、それも10時間の難手術、私の見舞に
あっけらかんと語っていた、ここまで自分の苦しみを
克服できることが驚きである。
裸一貫からその村一番の大規模農家に仕上げた。
県内は言うに及ばず、中央にも知れ渡った農業のプロ。
農業高校生の受け入れ農家でも有る、先年は沖縄からも
生徒を受け入れた。
若い頃は武勇伝、数知れず、町のお兄さん方が会釈をして
通り過ぎた、
あの時代の講道館柔道三段は見事な価値が有る、古武士である。
後僅かの人生である、
「先輩! これからは奥さんの言うことを素直に聞いて、ついて
行きなさいよ!」
勿論私とは若い頃からの付き合い、だから阿吽の呼吸で腹が
読める!
相合傘で、歩こうか ?
口とは違って、女房恋しい男伊達、少しだけ本音を言っちゃいなよ、
私の後押しに 「ばかな!」 とは言うものの顔は超恵比寿 ?
「先輩、男の涙 じっくり 聴いてみな 女房の有り難味が
分かるってものよ、これからは仲良くやんな ?」
男の涙 大川栄策
作詞:星野哲郎
作曲:島津伸男
歌手:北島三郎