病院の庭に降る雨 しゃぼん玉
15年前の今頃私はガンの検査で入院していた、 6月2日 がんセンタ-へ手術のため転院する。
命に絶望して、町の風景は灰色、セピア色に くすんでいた。
当時は、元気な今日が想像すべきも無かった。
街行く人と我が身の落差、覚悟を固めたとはいえ 去りゆく身の限られた命を惜しんでいた。
センタ-での手術を終え、そして退院、 懇意な個人病院で抗がん剤の投与が始まった。
昼間は、社会の移りを見る事で平静を保てたが 夜、静まり返る病院は孤独に締め付けられた。
小さな病院の小さな庭、僅かな樹木を眺めてくる 秋を想っていた。
夏が過ぎ秋の気配が漂い始めると、小さな庭にも 秋雨が静かに落ちてきた。
ベッド脇のカセットテ-プからドラムの伴奏で 長渕剛の ♪ しゃぼん玉が 我が家を思い 出させた。
♪ 帰りたくても 帰れない
・・・ ・・・
降る雨が 命の儚さを これでもかと ・・・