小さな屋台だった。
無口な親父さんとおしゃべりな女将さん。
椅子五つに 雨が降ると袖がぬれる 。
綺麗な女将さんの小料理屋にそっと 遠慮気味に
寄り添っていた。
その屋台は貧乏な夫婦の命の店だった。
当時25歳の 小生意気な私はこの夫婦が
ことのほか好きだった。
かめや その店の名前だった。
質素な 小さな 夫婦の屋台。
その町では 馴染みの 小さな屋台。
たまに酔っ払いが 父ちゃんを困らせた。
元気者だった私の出番は そんな時。
小さな屋台の かめやの 親父
逢いたいな ! 逢いたいよ!かあちゃん。
夏の通り雨 困った顔の 父ちゃんが
途方にくれて 渋顔 みせた。
おいらの好きな 屋台の かめや。
いつか あの世で 2人に逢いたい。
小さな屋台の かめやのふたり・・・。
酒場 冠 二郎