場末の崖の下に赤提灯の下がった小さな居酒屋が在った、
その居酒屋に小柄で伏し目がちな女給さんが勤めていた。
山深い田舎の出だというその娘は、故郷の話をすると涙ぐんで
カウンタ-の隅でハンカチを目に当てた。
山鳩やイノシシの出るその村には、娘の小さな弟妹達がいて、
姉さんのささやかな仕送りを待っていた。
その娘の名前は しのぶ と言った ! 素朴な振る舞いが人気に
なってやって来るお客さんに可愛がられた。
美空ひばりの ♪ しのぶ を聴くと 何故か ? 娘の涙を思い出す。
ずっと昔の事だったから、もう結婚し子供の親になって、娘に
雛さまを飾ってあげたであろうか ?
良い旦那さんと素直な子供達に囲まれた、平凡で幸せな家庭を
築いていて欲しい、私の脳裏に想う願望である。
世の中がどんなに変わろうと親子の情愛が廃るものではない、
いや、捨てることが有ってはならない。
しのぶ ちゃん、その手で、幸せ掴んだかい !?
♪ しのぶ
作詞:吉岡 治
作曲:市川昭介
唄 :美空ひばり
そういえば 心なし 涙のこぼれる 泣き顔と
無邪気に笑う その顔は
ひばりちゃんに 似ていたね
幸せ掴んだかい ・・・