アイドルに対するファンの熱気はすさまじい、時には刃傷沙汰に及ぶ、
その例が先般の岩手産業文化センタ-で行われたAKB48握手会での
傷害事件、24才の男がジャンパ-から鋸を取り出して川栄李奈と入山
杏奈に斬りつけた事件である。
いつの時代も、贔屓が嵩じた熱狂的ファンの心理状態は危なかしい。
美空ひばりへの硫酸事件等記憶に新しい、狼の若き頃のことである。
映画全盛時代から国民の目がテレビに移って行く、うまく時代に乗れた
役者は、そのままその娯楽の世界で生き延びていくが、時流に乗れ
なかった男優、女優は、知らぬ間にファンの前から消えていった。
表舞台の監督や役者の陰でどれほどの関係者たちが携わっているか、
その人々の衰退物語が世間を賑わせることはない。
狼は、昔から主役は勿論で有るが、それ以上に主役を引き立てる脇役
の俳優に目が行っていた、たとえばピラニア軍団の川谷拓三たちである。
深作欣二監督の仁義なき戦い等、主役の菅原文太よりも無残に殺される
拓ぼんたちの壮烈な演技に目を奪われたものである。
彼らが陽の目を見て主役を張った時は、人事ながら喝采を送った。
高倉健に傾注してずっと慕っていると聞く小林念侍に期待している、
今回、切られ役専門、5000回 切られた男 福本清三の主役映画が
完成した、これほどの喜びはない、勿論観に行くつもりである。
次々と新しいアイドルが、スタ-が生まれて来る、
その陰で・・・
世の男性達を引き付けた女優が寄る年波に勝てず老いていく様を見ると
熱狂しただけに世の習いとはいえ悲しくも切ない。
今また、テレビ業界の衰退が言われるようになった、
その世界に生きる人々、スタ-たちの悲哀が社会に漏れてくる現実は
見たくはない。
去って行くスタ-がいて、誕生するアイドルがいる、
スタ-を追いかけるファン心理は、昔も今も変わらない。
しばらく映画を観ていない、今度時間を割いて銀幕に向き合いたい。
夢を観させてくれる名もなきスタ-たちに乾杯。