男は些か焦っていた、年齢を考えると今年辺りは探し出さなくてはならない、
約束の年齢は当に二昔は過ぎた、「五十になったら逢おうな・・・」
あの夜の酒の酔いだけではない赤ら顔の彼の目が赤く潤んでいた、男二人 !
私は、ひとり呟いていた、「誰に遠慮などいるものか、俺が全責任持つ」
年月が過ぎて、別れて良さの分かる男がいる、伝統流派の型をビシッと決めて
にっこり笑った男は東京へ消えた。K大空手部OB Fが、先輩押忍と背筋を
伸ばして敬礼した男である。
蒙古放浪歌 男一途 日本の益荒男は、何処に居ても矜持を備えている。
待たしたね! 元気で居てくれよ!
あの夜の酒が 懐かしい、下道に降った小雨が、東京を恋しがってぐずった !?
「逢いたい !」
♪ 男一途 / 大川栄策
作詩:松井由利夫
作曲:弦哲也
編曲:斎藤恒夫
♪ 情におぼれりゃ 流される
理屈並べりゃ 角が立つ
こんな俺でも あの娘にだけは
せめて一輪 夢の花
胸に 胸に 胸に抱かせてやりたいよ ♪
「こんな演歌に弱い 俺 あんな涙は ごめんだよ
明日を誓った かたえくぼ 片山町の街路樹が 泣いていたね」