まさかその時までその居酒屋は
私と縁の深い夫婦が経営する店とは
知らなかった。
私の商売の出発になくてはならない人
その人がマスタ-だった
その上、私の親友の妻の甥でもある。
男同士五人の飲み会はこうして盛り上がった
夕方6時から11時半まで続いたのである。
自慢の喉を披露しようと身構えていたが
話が弾んだことで二次会は中止になった
こうして練習重ねた歌の披露は頓挫した。
スナックから二度メ-ルが入っていたが
ホテルに着くまで気が付かなかった
しかしカラオケがなくとも尚おつりが来た。
素晴らしい友情の復活と人生を讃えあう
絆の再確認は、地元、関東に跨る範囲に
及んだ。
男達は息子や娘を都会へ送り出して
ようやく自分達の親不孝を反省する歳になった。
ホテルに帰った私の頭の奥から
さだまさし 案山子が流れてきた。
お盆は
亡くなった人たちが我が家に帰る時
生前の親不孝をわびて 涙が滲んだ
窓の外に 小雨が落ちてきた。
港の灯りが 雨を降らせて 泣かせる
案山子よ。