先を急いだ後輩 男の酒
秋の夜長、あの日に泣いた男達の切なさを思い出している・・・
男の感傷、と言えば秋岡秀治の「男の酒」
「Sさん!」いつも私の事を気に掛けてくれていた後輩がいた、
その時代でも珍しいほどに信義に厚い男だった。
高校の後輩、私が卒業して彼は入学してきた、親友の弟と仲良し
で、高校生の時代から共に私を頼ってくれた。
柔道部主将Oの近所に住んでいたこともあり私もいつも目に掛けて
いた、性格は明るくて闊達な男だった。
とにかくもてた、同性の野郎達が脱帽するもてようだった !
追憶の彼方に彼のはにかんだ笑顔が見える。
「Sさん、大丈夫かな ?」私の数少ない想い出を心配してくれた
後輩でもあった。
そのもてようが彼の寿命を縮めた! 彼の死を私はそのように受けている。
その時々の彼女を必ず私に紹介してくれた、
みんなファッションモデルかと見間違うほどの美人達だった。
(生きていてくれればなぁ !)
晩秋の港町を颯爽と肩を並べて歩く2人に道行く人は振り返った。
まるで映画の主人公、都会の喧騒から抜け出た似合いのカップルだった!
スナック喫茶のカウンタ-で並んだ二人、あの日の情景が身を責める ?
(Hよ !) いい男ほど先に行く・・・
秋岡秀治が彼の胸の内を代弁する、
まるい卓袱台あいつとふたり
心づくしの皿小鉢
・・・
「秋の虫 急いだ男 追いかける」
Hよ ! H ・・・