あのテレビ番組を見たのは何時の事だっただろうか ?
画面には辛うじて名前の売れ始めた男の歌手が自信なさげに
画面の向こうでギタ-を抱えて歌い始めた。
河島英五 私の視線が止った、
私の習性で、相手の目に視線が行ったのである !
気力を奪いたたせるのだがその眼は弱気の色合いを見せて
いた、(おや! どうした ?) 妙に気になった ?
後から分かったのだが彼の生まれ、しかし私の青春時代は
彼の同郷の若者達抜きには語れない程付き合いが日常だった。
その時の彼の気弱さが私には奇異に見えたが、その胸の内を
知るほどに彼への応援に変わった。
「がんばれよ !」
政界、財界上層部などに活躍する者は別として私と関った
若者達は生活に必死だった、だから理解し合えたのである。
そこには思想、民族を異にするいがみ合いはなかった。
河島英五、彼の歌に共鳴し、彼の訴えに感動さえした、見事な
宣教師、その彼が私と同じガンに、そしてみんなに惜しまれて
この世を去った、あの時の戸惑いの表情を私は忘れない !
民族のいがみ合いが無くなる未来であることを、私は切に願う。
そして、だからこそ「酒と泪と男と女」にその都度逢いに行く。
河島英五の戸惑いに逢いに、そして力づけるために !?