小林 旭
彼が出始めの頃は、あの甲高い唄が癇に障った、
スポットライトを浴びる小林旭に嫉妬した。
売出し中の清純女優「浅丘ルリ子と良い仲なんだってよ」
巷でそんな噂話を耳にして叶わぬ願いと知りながら焼餅を
焼いていたのである。
当然、名指しされた小林旭に敵愾心を燃やすことになった、
その反動が、彼の歌への拒否反応に繋がった。
ところが、ある年松山で、日活映画「南海の狼煙」のロケ
が行われて偶然にも私は港町から松山へ来ていた。
当時の国鉄松山駅で撮影が行われて、物凄い人波で駅付近は
混雑を極めた。
その時の主役 小林旭はカッコよかった !?
恋敵どころではない、完全に完敗だった、比較することも
恐れ多かった、それを知らされるほど彼は素晴らしかった。
それから彼の歌に耳を傾けるようになる、
あれほど嫌った高音が何ともいえない旅情に思えてならない、
言葉で表現できない感情の乱れだった「何と切ないものか?」
こうして小林旭に傾倒していく。
美空ひばりとの結婚は、浅丘ルリ子に嫉妬したような感情は
全くなかった、逆に祝福したほどである、ひばりの存在は
焼餅を超越した女王様だったのである。
若い私には不可解な離婚があって、その後 女優青山京子との
再婚、ここに至ると逆に「幸せになって下さい」になっていた。
♪ オロロン慕情 という歌がある、過去にすれ違った乙女達、
若くして命を落とした娘、私の追憶の世界に現れる女性達を
静かに偲ぶ「私の宝玉の歌」別格の宝物です、聴いてください。
♪ オロロン慕情
作詞 遠藤 実
作曲 遠藤 実
俺と一緒に 泣いた娘が死んだよ
網走尋ねた ひとり旅
ふたりでいつか 来たあのときも
オロロンバイ オロロンバイ 鴎が啼いていた
♪ オロロン慕情 小林旭